Another Words

突然創作を載せたり載せなかったりします。

2022-01-01から1ヶ月間の記事一覧

誰も読まない自作解説「縁の寿命」

というわけで、途中まで結構アクセスが伸びていた「縁の寿命」です。 これはtwitterにも書いたりしたように、「全部失って心がからっぽでもそれでも生きる」っていう話、結構忘羨の死別を書いた二次創作はあるんですが、二人が別の道を行く系がないよなあと…

「知己のままで」についての誰も読まないあとがき

ええと、この話当初の予定では 「宋嵐が間違って暁星塵を死なせてしまい、怒った薛洋が宋嵐を刺し殺して、 ふたりともを傀儡とするけれど、暁星塵を人形を愛でるように愛でつつ宋嵐をこきつかう」 というかなりムナクソの悪い話になるはずでした。が、 途中…

誰も読まない自作解説「少年」

「ひとつだけの生きる理由」から「后会有期」まではpixivに「少年」というシリーズものとしてupしたものなのですが、これちょっと解説。 魔道祖師の本編って、三人称なんだけど完全に魏无羡視点で書かれているんですよね。彼が見聞きし体験したものとして全…

后会有期

「また背が伸びたのでは?もうすぐ追いつかれてしまいますね」 薄墨の衣をまとった背の高い方の男が、傍らにいる深緋の衣の男に話しかける。話しかけられた方はえくぼが特徴的な顔をほころばせる。 「それにしても、私の師匠を根負けさせるとは、あなたは本…

初夜

「薛洋、私があなたと床を共にするようになってどのくらいになりましたか?」寝台の淵に並んで腰掛けていた時に、不意に暁星塵が話しかける。「人聞きの悪い言い方をするなや道長。寝台が一つしかないんだから仕方ないだろ?」「人聞きの悪い、って、ここに…

決別の辞

ねえ子琛、君に、聞いてほしい話がある。 君がここにいることを知っていたのに、私はずっとここに来ることができなかった。君に合わせる顔がなかった。自分の犯した罪に向き合う強さがなかった。私には、私自身が考えていたよりずっと弱い、小さい心しかなか…

薄荷の飴

薛洋の熱が下がった後、再び前のような暮らしが始まった。ただし、もう暁星塵は繋がれてはいない。それでも暁星塵は義荘を離れてはいかなかった。 彼の正体が薛洋であることを知るまで、暁星塵にとっての彼は「少々、いやだいぶ口が悪いが、お節介でよく気が…

罪の重さ

犯した罪は裁かれなければならない。その責をまるで負うことなくこんなふうに死ぬことが許されようはずがない。 彼の罪はあまりに重い。到底彼ひとりの命で償い切れるものではないが、まずは彼にその重さを自覚してもらうことから始めねばならない。でなけれ…

血の匂い

その日も薛洋は宋嵐を伴って「夜狩」と称するなにかのために出かけていた。夜半から降り出した雨がやがて雷を伴う豪雨となり、窓から風雨が吹き込む。肌掛け代わりにしていた外衣を身体に巻き付けて、暁星塵は寒さに震えていた。 いったいいつになったら私は…

闇夜の宴

少し経つと、薛洋は時々夜にも出かけるようになった。二人分の足音が聞こえるのは、おそらくは宋嵐を伴っているのだろう。陰虎符で操られる傀儡となった宋嵐を使って、薛洋が一体どのような悪事を働いているのか、それを考えると恐ろしくもあった。しかし、…

浅い眠り

薛洋は朝餉のあとすぐ出かけて、夕方遅くなるまで帰ってこない、そんな日が続いた。もともと小食の暁星塵は特に昼時に腹を空かせることもなかったが、寝台のそばにはいつもいくつかのお焼きと水、時にはみかんや飴が置かれていた。そしてそれに口をつけよう…

ひとつだけの生きる理由

暁星塵は霜華を拾い上げ、自らの命を絶とうとした。 が、手の届くところに霜華はなかった。ならばと舌を噛み切ろうとするも、猿轡をかまされてしまう。「悪いな暁星塵。あんたを死なせるわけにいかないんだ」薛洋の声が聞こえる。それから鈍い痛みを首に感じ…

命名(R-18)

「魏嬰、君は、あの剣をどうするつもりなんだ?」 藍忘機が突然言い出した。「あの剣」とは、かつて雲深不知処から追い出されて放浪していた頃、ふと知り合って旅の伴となった美少年に身を守るための剣術を教える為に自分用に手に入れたものだった。とある城…