Another Words

突然創作を載せたり載せなかったりします。

薛洋を救いたいプロジェクトその4(18禁多め)

しかし、そうなると「薛洋は真っ当に生きるために叩き直されたくて江氏を選んだ」という仮説は成り立たなくなる。それが蓝忘机が「江宗主には伝えるべき」と考えた理由なのだが、魏无羡はまだ考えていた。

一度死んだのだから過去の悪行は無かったことにされると考えているわけではない。江澄や金凌から許されているとは魏无羡自身思っていない。ただ、自分は受け入れ許す者であらねばならない、と考えていた。両親が亡くなり町でゴミを漁って辛うじて生き延びた日々。江おじさんに見つかり莲花坞に連れ帰られる幸運がなければ、自分が薛洋になっていたかもしれない、という思いは常に心の中にあった。

夷陵老祖として大量殺戮を引き起こし多くの人に不幸と恐怖をもたらして死んだ自分が今、この世で一番美しく高潔な男と愛を確かめ合う日々を送っているように、道を踏み外して亡くなった他の誰かにも、その機会は与えられて良いのではないか、という気持ちがどうしても消えないのだ。

「なあ蓝湛、やっぱり江澄には黙っておかないか?」

「問題が起きてからでは遅い」

蓝忘机にはもちろん、魏婴の気持ちはわからないわけではない。むしろ、彼のその優しさ、疎まれ憎まれる者にさえ寄り添おうとする心をとても好ましいものとして感じている。

しかし自分は仙督なのだ。情に流されて、問題の芽を放置するわけにはいかない。ましてやあの薛洋なのだ。不完全とはいえ陰虎符を再生し、視力を失っていたとはいえあの晓星尘を長い間欺き続けた、高い知力と狡猾さ。そして艾渊となってからも、おそらくは既に数人を手にかけている。

「じゃあ、いっそのこと俺が直接本人に話を聞いてみる、っていうのはどう?薛洋も俺になら正直に話してくれる気がするんだ。それを聞いてみてからでも」

「絶対にだめだ」

「蓝湛は俺の心配をしてるんだろ?それはもちろんわかってるよ。今の俺じゃあいつに剣では絶対に敵わないし。でも身を守る方法は他にいくつも知っている」と、傍の陈情に目を遣る。蓝忘机はいつも以上に難しい顔になって、ゆっくりと言葉をつなげる。

 

「絶対に君に、かすり傷ひとつ負って欲しくない。そんなことになれば、私は…」

「あーわかったわかった。蓝湛も一緒に話聞けば大丈夫だろ?」

「うん」

「ところで含光君、今日はなんの日だか知ってる?」

「今日?」

「お前が巻狩の時に俺が目隠ししてるのをいいことにこっそり近づいて来て林の中に押し倒して無理やり口づけした記念日」

「…魏婴!」

「なんだよ忘れてたのか?」

「忘れてはいない。それに…」

「それに?」

「あの時は、木に押しつけただけで、押し倒してはいない」

「ああ、あの時は、ね。でも俺はお前に押し倒されるのがとても好きだし、お前だってあの時、本当は俺を押し倒して口づけだけでなくそれ以上のこともしたかったんだろ?今から、その時したかったことをする、っていうのはどう?」

「魏婴、もう揶揄うな」

どうして彼の言葉はこんなにも自分を惑わせるのだろう。蓝忘机は魏无羡を抱き上げると、そのまま寝台へと運んだ。

 

「そういえば蓝湛、お前俺に禁言術使わなくなったよな。もしかして」

「何?」

「もしかしてお前、俺に揶揄われるのが嬉しいのか?」

「嬉しいわけではない」

「そうなの?俺はお前に無理やりされることはだいたいなんだって嬉しいぞ。無理やりするのはもっと好きだけどな」

魏无羡は蓝忘机に跨るとゆっくり腰を落とした。それがあまりにゆっくりだったために、途中で焦れた蓝忘机は、魏无羡の細い腰を両手で掴むと、一気に自分に引きつけた。

「蓝湛!今日は俺が無理やりやるんだって言ったのに。お前のはすごく大きいからいきなり奥までだと俺が辛いのわかってるだろ。…蓝湛、含光君!」

「無理やりされると嬉しいと言った」

「お前いつもそうだよな、毎日は無理だって言ったのに『毎日と言ったら毎日』だと言ってしかもそれどころか1日何回もだし」

「1日1回だけとは言わなかった」

「確かに言わなかったけど、ちょ、ちょっと待って蓝湛、そんなに強く突かれたら胃袋が口から出ちゃうだろ」

「少し黙れ」

蓝忘机が禁言術を使わないのは、魏婴の発するどんな一言も聞き逃したくないからだ。それに、黙れと言われて大人しく黙るような魏无羡ではない。体勢を入れ替えて魏无羡を組み敷き、唇を塞ごうとするが、魏无羡は首を左右に振りながら

「蓝湛、蓝湛、黙れるわけがないだろ。お前のあれが最高すぎて、あ、助けて蓝湛、気持ち良すぎて腰が溶けそうだよ。ねえ、蓝湛も気持ちいいって言ってよ」

「君には慎みというものがないのか」

「そんなもん、お前のが入ってきたらどっかに行っちゃうだろ。だいたい蓝湛だって俺の中で大きく、あ、待って待って待ってもう限界だからっ!」

そこまでいうと魏无羡は両手で蓝忘机の頭を引き寄せて耳に吸い付いた。蓝忘机も魏无羡の首筋に噛み付く。魏无羡は一瞬ビクッとした後全ての動きを止めた。二人の腹の間で魏婴の昂りが弾け、ゆっくりと融けてゆく。

 

「…ったく、かすり傷ひとつ負わせたくないとか言っといて、噛まれるとすごく痛いんだぞ。なんでお前いつも噛むんだよ?」

「私のものだ」

「ああわかったわかった。俺はお前のものだからお前の好きにしていい。だけど俺はイったばかりだから、ちょっと動かないでくれる?呼吸が…」

「だったら黙りなさい」

「だから黙らせたかったら禁言をだな、ちょ、待てって。今敏感なんだからそこは」

胸の小さな突起に吸いつかれ、魏无羡は悲鳴をあげた。再び彼の前のものが頭を擡げはじめる。

「なあ、待てって含光君。だいたいお前俺だけイカせるとか卑怯だろ。俺はお前と違って霊力が低いんだから二度も三度もとか無理なんだって」

「霊力は関係ない」

「じゃあ体力でもいい。羡羡はか弱いんだから労ってよ。無理にされたら壊れちゃうよ。後はほら、手とか口とか…」

蓝忘机は一旦動きを止め、右手で魏无羡の左手に、左手で右手にしっかりと指を絡めると、唇を唇で塞いで激しく舌を吸い、再び腰を打ち付け始める。既に魏无羡のものはしっかりと立ち上がって蓝忘机の腹を擦っている。

「無理やりされると嬉しいと言った」

唇を離した蓝忘机から真面目な顔でそう言われると、魏无羡ももう逆らわずに甘えた声を出す。

「蓝湛!含光君!お前が凄すぎて俺は何も考えられないよ。だからもっと俺を壊して。壊れてぐちゃぐちゃになってお前と一つになりたい」

「もうなっている」

それから一瞬おいて、蓝忘机も魏无羡も熱を放つと、ゆっくりと身体から力が抜けていった。